僕の三日間?戦争

今のマンションに住んで2年3ヶ月。
ついに。
ついに、奴が私の前に姿をあらわした・・・!

それは水曜日の深夜。遅い食事とシャワーを済ませ、疲れた体をベッドに投げ出そうとしたその刹那。ふとベランダ側の板の間に目をやると・・・
黒褐色のそいつは、ゆっくりと前進していたかと思うと突然のチェンジオブペースですばやくダッシュ!あっという間に私の視界から姿を消した。

あれは・・・まさか・・・
これから安らぎの時間を過ごすはずであった寝室に緊迫した空気が張り詰める。

カサカサカサ・・・

背後に不気味な音が聞こえ、とっさに振り返ると、押し入れのふすまを下から上に移動する、およそ5センチはあろうかという黒褐色の物体が・・・!
楕円形の体、2本の触覚に6本(?)の脚・・・間違いない、奴だ・・・奴が来たんだ・・・!
そう、世にも忌わしきあの黒ゴキ野郎が、ついに私の聖域に侵入してきたのだ!!
この2年3ヶ月の間、ゴキブリはおろか虫じたいあまり見たことがなかった。それなのに・・・いやそれ故に油断があったのか。いずれにせよ、この受け入れがたい事実に、私は軽いめまいを覚えた。

しかし、私はすぐに我にかえった。そうだ、私は戦わなくてはならないのだ!我が聖域を汚さんとする憎むべき侵入者を許してはならない!

しかし私は、奴に対抗するためのなんの武器も持ち合わせていないことに気がついた。殺虫剤もなければハエ叩きもない。まさに丸腰だ。
少しの間、睨み合いが続いたが、奴がピクッと動き出そうとしたのが目に入り、私はとっさに部屋の隅にあった雑誌を手に取った。それをクルクル丸めて握り締めれば、それはさながら聖剣・風林火山かはたまたビームサーベルか。
覚悟!とばかり風林火山を振りかざすと、奴はなんと押し入れの中に入ってしまったではないか!

私はしばらくの間、構えを解かずに奴が出てくるのを待ったが、出てくる気配はない。
もう時間も遅いし、これ以上戦闘が長引けば明日の仕事にも差し障る。
誠に不本意ではあるが、私はここで一旦停戦することにした。
私は押入れのふすまを閉めた。これで奴を押し入れに閉じ込めるかたちになった。
もちろん押し入れの中であの黒ゴキ野郎が蠢くのはガマンならないが、それよりも私が寝ている間に部屋中を徘徊されてはたまったものではない。少なくとも、押し入れより外に出てくることはない、という安心感が、今の私には必要であった。
私としては苦渋の決断であったが、今は耐えるしかない・・・


二日目

 昨夜の遭遇戦ではいささか装備に心許なさを感じた。攻めかかってくれば聖剣・風林火山で叩き潰すまでだが、昨夜のように引いて守られてはたちまち攻め手がなくなり為す術がなくなってしまう。遠目からのミドルシュートのように、引いた敵を前に誘き出す武器が必要だ。
私は仕事帰りに24時間営業のスーパーで武器を調達した。まずは基本中の基本、「ゴキブリホイホイ」。こいつを、奴が篭城している押入れのあちこちに仕掛けるのだ。さらに、ロングレンジの攻撃を可能にするビームライフル「ゴキジェット」。
今日は昨日のようにはいかないぞ・・・

帰宅してさっそく戦闘準備開始。いつも室内では裸足の私だが、今日は不測の事態に備えて靴下&スリッパで足元を防御。
奴が篭城する押し入れの前にビニールシートを敷いて、出てきた奴を心置きなく叩き潰せるための準備も抜かりない。
そして「ゴキブリホイホイ」を10個組み立てて、うち3個を押し入れの中に設置することに。
ふすまを開けた瞬間に奴が出てくるかもしれない。油断してはならない。
左手でビームライフルを構えつつ、右手をふすまにかける。
バッ! とふすまを開くと同時に一歩下がって両手でビームライフルを構える。

・・・だが出てくる気配はない。
私は開いた押入れにくまなく目を配り、奴の二列目からの飛び出しに注意しながらゴキブリホイホイをひとつ、ふたつ、みっつ・・・と押し入れの中の要所に配置していった。
そして押し入れの中からディフェンスラインの裏に抜け出してきた場合に備えて、押し入れの外にもオフサイドトラップを配置したうえで、右手にビームライフル、左手に聖剣・風林火山を構えてしばらく様子を見た。
しかし、いったん暗い押入れの中に入ってしまうと、奴も警戒してなかなか明るい外には出てこないものか。
いくら戦いたくとも、敵が出てこないことには如何ともしがたい。早期決着を図りたいのはやまやまだが、私は作戦を若干変更、トラップをかけたまま一晩様子を見ることにして、再びふすまを閉じた。
果たして作戦は成功するだろうか・・・


三日目
今日は会社の同期会。風邪気味だしゴキ野郎のことも気になるので早く帰りたかったが、前からの予定だし大事な付き合いでもあるので、とりあえず乾杯だけして早々に辞去するつもりだった。が、結局3次会までお付き合い。
そして、今日も深夜に帰宅。
さあ、昨夜しかけたトラップに、奴はかかっているだろうか・・・。
だがここで、私は大きな問題に直面することになる。
奴を捕らえたかどうか、確認するには当然ゴキブリホイホイの中を見なければならない。
だが、それはつまり、ゴキブリホイホイの中で蠢く忌わしきゴキ野郎を目の当たりにする、ということを意味する。
しかも、1匹どころか2匹、3匹、いやそれ以上のゴキ野郎どもがワサワサと蠢いていたりしたら・・・ギャーー!!

・・・見ようか、見まいか、どうしようか・・・しばらく逡巡するうちに、私はあることを思い出した。
そうだ、今日はいよいよW杯の開幕戦、ドイツ対コスタリカだ!
私はゴキブリホイホイの中身ではなく、TVを観ることにした。
守備に不安を抱えるうえに主将ミヒャエル・バラックの故障等コンディションも上がらないホスト国ドイツ。直前の強化試合で日本と引き分けた相手が本番でどんな戦いをみせるのか、注目の一戦だ。

我が家の戦いは、長期戦の様相を呈してきた・・・

つづく(かも?)
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by masafuji1970 | 2006-06-09 23:59 | 日記


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