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これは「早明戦」ではない

少し遅くなりましたが、12月4日に国立競技場で行われたラグビー早明戦(試合の記事はこちら)の感想を簡単に。

これは「本当の早明戦」ではない。
一言で言えばこうなります。

少しでもスポーツに詳しい方ならご存知のとおり、早明戦を語る際によく使われる公式があります。すなわち
「タテの明治、ヨコの早稲田」
「フォワードの明治、バックスの早稲田」
「重戦車FWの明治、華麗なBK展開の早稲田」
「前へ」の明治、「揺さぶり」の早稲田・・・等々

心ある良識的ラグビーファンの方々の批判を承知であえて非常に単純化すると、
「デカくて力が強い明治」と「小さいけど技と組織プレーで頑張る早稲田」の対決、という構図があるわけです。
早稲田サイドからみれば、弱者たるワセダが強大なる敵メイジに勇敢に立ち向かい、そして「柔よく剛を制す」・・・
この構図がファンにとってかなり魅力的なのです。そして「判官びいき」である多くの日本人の琴線に触れるわけです。

そしてもうひとつの図式が「番狂わせ」。
ラグビーは力関係が素直に結果に現れる、番狂わせが起きにくいスポーツと言われます。
にもかかわらず、早明戦の長い歴史のなかで両校は何度も劇的な番狂わせを演じてきました。
どんなに戦力差があっても、早明戦だけは両校互いに意地とプライドをかけて死力を尽くします。そして下馬評では不利と言われた方が劇的な勝利をおさめる、ということがたびたびあります。
「早明戦だけは、なにが起こるかわからない」と言われる所以です。

これは「早明戦」ではない _c0057845_0305118.jpgところが、ここ数年はこの構図が崩れ去っています。
’90年代の長い低迷のあと、数々の改革を断行して強化に成功、いまや学生では圧倒的強さを誇る王者ワセダ。
対照的に’90年代に謳歌した黄金期の強さがウソのように低迷、復活の兆しすら見えないメイジ。
その両校の明暗が行くところまでいきついたのが、今年の早明戦でした。
40-3というスコア以上に、圧倒的な内容の差。
特に明治ラグビーの代名詞のはずであったスクラム、モール、ラインナウト、タテ突進といったフォワードのプレイにおいても早稲田が圧倒。
まさに「フォワードもバックスも早稲田」。

かつての憎らしいほどの強さを知る人にとっては信じ難い明治の惨状。
明治ファンばかりか早稲田ファンからも「明治はいったいどうしたのか?」「明治よ、もっとがんばれ!」という声があがるほど、今の明治のだらしなさは目を覆わんばかり。

要するに、明治が強くないと面白くないわけです。
判官びいきは、まず相手が強いということが前提ですから。

全盛期には国立競技場を6万観衆で満員にした早明戦。国立を満員にできるビッグゲームといえばサッカー日本代表の試合や天皇杯決勝くらいで、なかなかできることではありません。
それが今年の早明戦は4万人にも届かず、スタンドには空席が目立ちました。
ジャパンやトップリーグの試合よりも学生同士のいち対抗試合の方が観客を集めるという日本ラグビーの現状もどうかと思われますが、その早明戦ですらこの有り様では、ラグビー人気の凋落にますます歯止めがかからなくなることは必至。

早稲田の強化には、豪華設備の上井草グラウンド及び学生寮、アディダス・ジャパン社との提携等、「あまりにもプロ的ではないか」との批判もあるのは事実ですが、それを差引いても明治はじめ他大学の不甲斐なさはなんとかならないものか。奮起を期待します。

「簡単に」と言いながら結局話は多岐にわたりましたが。
日本ラグビーの将来のため、なんて大きなことは言いません。
僕はとにかく、「本当に面白い早明戦」が観たい!
by masafuji1970 | 2005-12-09 23:56 | スポーツ


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